特発性黄斑円孔 idiopathic senile macular hole
後部硝子体皮質による中心窩の前方牽引・
成人硝子体には後極に 液化腔 が形成されている.液下腔後壁(網膜表面)は薄い後部硝子体膜で,中心窩での接着が強い.皮質液化腔の拡大につれ後部硝子体膜は伸展され曲率が大きくなる.伸展とは,網膜面に対して水平方向に作用するベクトルが後極の凹カーブに対しては弧が弦になる要領で,中心窩を挙上する作用(前方牽引)となる.病期後半では内境界膜の肥厚が加わる.
本症の小視症は特徴的である.
病 期 | 網膜剝離説:Gass (1995) | 臨床像 | 嚢胞説:Kishi (1996) |
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normal | 正常陥凹![]() | ||
stage 1A | ![]() 中心窩の剝離 |
中心窩の陥凹消失 50%が進行 |
![]() 中心窩の肥厚 |
stage 1B | ![]() 切迫円孔 |
黄色リング 特発性黄斑囊胞 放射状ひだ |
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黄斑囊胞 |
![]() 潜伏円孔 | |||
![]() 円孔の拡大 | |||
stage 2 | ![]() 偽円蓋(裂隙) |
裂隙形成 視力は多くが0.3以下 70%が次のステージへ |
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囊胞の一部に裂隙 |
![]() 潜伏円孔の裂隙形成 | |||
stage 3 | ![]() 円孔と偽円蓋 |
円孔の完成(全層円孔 円孔直前に蓋 |
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囊胞の前壁が蓋となる |
stage 4 | ![]() 円孔と後部硝子体剝離 |
円孔(一般に陳旧化)と 後部硝子体剝離 (Weiss輪の存在) |
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後部硝子体剝離により |
牽引がかかる中心窩の初期変化(Stage 1A)は,囊胞化70%,剝離化30%であった.また,囊胞のない部分PVDの段階を „Stage 0 MH“ と呼ぶ研究者もいる. 【 ☞ 中心窩牽引 】
病 期 | 所見 | 画像例 |
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Stage 0 | 硝子体皮質は周囲で剝離しているが 中心窩では接着している 中心窩が変形し 信号強度が変わる | ![]() |
Stage 1A | 硝子体牽引による中心窩の隆起・類囊胞の形成 | |
Stage 1B | 外層円孔(視細胞層の離開) | |
Stage 2 | 表層の弁状剝離 弁には硝子体が接着 三日月状裂隙形成 | |
Stage 3 | 後部硝子体は黄斑から剝離 しばしば operculum(蓋)が付着 乳頭部には 後部硝子体付着が残存 | |
Stage 4 | 後部硝子体剝離の成立 後部硝子体膜は OCT画面からはずれる |
硝子体手術(内境界膜剝離
自家網膜移植(2019~